僕の爺ちゃん…滝見屋の3代目が天に帰って1年。
爺ちゃんは101歳だったんですね。そして、90歳を越えても蕎麦を打っていたスーパー爺ちゃん。
僕が小さい時…
コネ鉢で蕎麦をこねている爺ちゃんの姿は、土遊びをいているように見えたんです。これ、今だに記憶があります(笑)
椅子を持っていって、一緒にこねた記憶があるんですから。
修行から帰って来た時も、まだ爺ちゃんが蕎麦を打っていました。爺ちゃんから教わったかと言うと…教わったというより手伝ったという感じですね。
粉の分量はありましたが、繋ぎに使う布海苔の量は感覚でやってました。
『今日はこんなもんか…』『ちょっと、柔らかいなぁ』
なんて言ってましたから。
爺ちゃんは、東京で蕎麦の修行をしています。
これ、爺ちゃんから直接聞いたわけではなく、親戚の方からの聞いたことです。
『ツルツルした食感の蕎麦が好きだ』
と、爺ちゃんい言ってました。爺ちゃんの基本は布海苔の蕎麦じゃないと思います。布海苔も僕よりもトロトロしてましたし。
滝見屋のお品書きに昔から「種物(たねもの)」があるのは、東京で修行したからと聞きました。種物 とは、かけ蕎麦に具が乗ったり、あんかけにしたりした物のことです。
僕が、そば屋清兵衛さんに修行に行った時には、爺ちゃんは施設に入ってました。僕の打った蕎麦を食べるとことは出来なかったんです。
最後の最後でした。棺の中に蕎麦を入れることが出来たんです。食べてもらえたかなぁ。孫の僕には優しかったですからね(笑)
実は、スゲーなと思ったのは、僕の息子。
その時はかなり小さかったはずなんですが…
『おお爺ちゃんはこうやってた』
『ジジはこうだった』
『父ちゃんはこうだよね』
息子、全部知ってるんです!!聞いた時はビックリしましたから。
爺ちゃんと同じ蕎麦が打てるのか!?これは出来ません。粉も違いますし、布海苔の硬さも違います。ただ、記憶は残っています。
僕の打つ蕎麦は、『そば屋清兵衛』の親父さんから教わったものです。清兵衛の親父さんが挽いた蕎麦粉を使い、同じ分量で、同じように打っています。
間違いなく、1年前よりも美味しい蕎麦になっています。来年も再来年も美味しくしていきます。
お客様に喜んでもらい楽しい思い出を作ってほしいですから。
爺ちゃんのお品書き、清兵衛さんから教わった蕎麦は孫まで繋がっています。今頃、麻雀しながら見てるかもしれまさんね(笑)