『天ぷらって、揚げ物の一つなんだよね』
これ、和食修業中に親方から言われたことです。和食のコースに天ぷらが付くことは少なくなってきてると思います。
混ぜたり、コネたり、挟んだり…形を変えて揚げた物が多いかと思います。
なので、和食の修業中は、天ぷらを揚げたことはなかったです。
そんな親方が、たまたま松之山の山菜を天ぷらで食べる機会がありました。
『ビックリした!!』と。
コゴミは粘りがあるんだな…
ウドはこんなにエグみのない味なのか…
蕗の薹はこんなに苦くなく香りがするのか…
嬉しかったですね。松之山の山菜の美味しさを、知っていただけて。
松之山に帰って来てから、その親方から電話。
『平さんよ、俺はいろんな物を形を変え料理にしてきた。けど、今日食べた、山三つ葉の胡麻和えの旨さに驚いたよ』と。
あれだけいろんな物を食べてきたが、山三つ葉がこれほど美味しいとは知らなかったと。
そして、親方が僕に言ったのが、
『平さんに教えた和食も天ぷらも、どちらも間違っていない。どちらも必要で勉強になる。だから、自信をもて!!』
事業継承して、天ぷらを揚げるのが僕になりました。喜んでくれる方がいました。だったら、天ぷらと蕎麦をどんどん前に出していこう。僕にはそれしか出来ないから。
この地域には、天ぷらにあう具材がたくさんある。これで喜んでもらおう。
和食の修業をしてきたことを出さなきゃ。そんなことばかり考えていたんです。これ、僕の自己満足。お客様の食べたいものと違った。
滝見屋だから出来ることで、お客様に喜んでもらおう。
まだまだ、変化します。最高の蕎麦を教わったんですから。
これが僕が修業から帰ってきたとき、あまり天ぷらを前に出さなかった理由です(笑)